自衛隊の無事な帰還を祈ってます

産経抄 平成18(2006)年6月26日[月](産経新聞)



 『徒然草』の第109段に「高名の木登り」の話が出てくる。木に登る名人として知られた男がある日、別の男に高い木の梢(こずえ)を切らせる。上の方で危なく見えた時には何も注意せず、軒の高さばかりまで降りてきたところで「気をつけろ」と声をかける。
 ▼傍らの人が「あの高さなら飛び降りることもできるのに」といぶかしがるとこう反論する。「あやまちは安き所に成りて必ず仕(つかまつ)る事に候」。木登りにとって当たり前の経験則かもしれない。だが兼好法師は「聖人の戒めにかなへり」といたく感じ入っている。

 ▼最近この話を思い出す機会が多かった気がする。「もう大丈夫」と、みんなが思いかけたところで逆転された対オーストラリア戦のサッカーがそうだった。退陣まで秒読みに入った小泉首相は、軒の高さばかりの所から無事着地ができるのか。ちょっと気になる。

 ▼だが、今最も「戒め」を心にとめなければならないのは、イラクからの撤収が始まった陸上自衛隊だろう。2年半に及んだサマワでの活動は、派遣反対派の「期待」に反して現地で大きな成果をあげた。これまでのところ大きな事故にも遭わず、事件も起こしていない。

 ▼それを可能にしたのは日本の自衛隊の規律の良さや習熟度の高さだった。そのことを世界に示すことができたのが最大の収穫かもしれない。しかし軍事において撤収や退却が最も難しいというのは常識だ。最後に今一度、気をひきしめ安全を期してほしいものだ。

 ▼そういえば最初の段階でイラクに入った「ヒゲの隊長」佐藤正久1佐は、まだヒゲを剃(そ)らないそうだ。無事な撤収や今後も支援を続ける航空自衛隊の安全を祈ってのことである。すべてが終わったとき心からの「ごくろうさま」を言いたい。
反対派Bのその後
イラク自衛隊派遣費差し止め訴訟、原告の控訴棄却(朝日新聞)

しっかし、相変わらず産経抄はいい感じにトゲがありますな(==
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by xell_rainy | 2006-06-29 17:30 | ニュース関係
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